卒業祭が近づいていくと同時に、龍堂学園はきらびやかな装飾に包まれていく。
明日はついに卒業祭である。
校門前や中庭には屋台の準備、体育館や空き教室には出し物に使う道具などが置かれている。
そして今、体育館では直子達の劇の練習が終わったところだった。
「よし!バッチリだ。これなら本番も大丈夫だな。」
亮司が頷きながら言った。
「今日はこれで終わりにしよう。みんな、明日に備えて早めに休んでくれよ。それじゃ、解散!」
全員、体育館から出て行く。そんな中、彩華は劇で使った小物を片付けていた。
「彩華。」
「ん?兄貴、どうしたの?」
振り返ると蓮がいた。
「これ聞いといてくれ。」
彩華にミュージックプレイヤーを渡す。中には一曲しか入っていなかった。イヤホンを耳につけて曲を再生する。
「これ新曲!?」
「まあな、何回か聞いといてくれ。」
そう言って、蓮は体育館を出て行った。
「なんでだろ?今までギター引きながら聞かせてくれたのに。まあいっか。」
曲を聞きながら、彩華は体育館をスキップしながら出た。
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