「私、顔に何か付いてるのかな?みんなが見てるんだけど…。」





「…そりゃ見慣れないからだ。まさか直樹が女装してるとは誰も思わないだろうし。」





「女装?私は初めから女よ、拓也くん。」






「…………。」





拓也は変わり果てた友人に何も言えなくなった。






【生徒会室】





「兄貴〜。貸し出し申請用紙持ってきたよ〜。」




亮司から預かった紙を持って、彩華がノックもせずに入る。中には蓮以外いなかった。







「ああ、もらうよ。」




蓮が彩華から紙をもらい、リストにまとめていく。







「兄貴だけ?」





「ああ、雪は貸し出す用具の点検、次狼はそれの古くなった物や不足している物の買い出しだ。菫は俺と一緒にリストアップや各クラスの出店場所や体育館の使用順を決めるんだが、どっかに行ってしまった。」





すらすらとペンを動かしながら話す。







「大変ですね。頑張ってくださいね!」





「ああ、ありがと直――――ん?」




違和感を感じて、蓮は直子を見る。







「何やっているんだ…直樹。それがお前のやる役か?」





「私はまだ役作りしていませんよ?」





「いや、してるだろ。女役になったのか?」





「私は初めから女ですよ。」





「……………。」




耐えきれずに、蓮は優華に目を向ける。







「エリーゼさんの不思議道具で、その…こんな感じに。」





「ああ…なるほど。」




溜め息混じりで蓮が言う。