「なんでバラすんだよ…。」
頭を抱えながら、その場に座り込んだ。
「だ、大丈夫ですよ。本当にかわいいですから…。」
「優華さん…それ慰めてくれてるの?」
苦笑しながら直樹が言う。
「話は聞かせてもらった!」
いきなり教室のドアを開けて入ってきたのは菫だった。
「さあ、お着替えの時間だよ。」
唇をペロッと舐めて、菫は有無を言わさず直樹を捕まえ教室のドアを閉める。
1分も経たないうちに、ドアが開き、女子の制服を着た直樹が放り込まれた。その瞬間、教室に歓声が上がった。
「さ、触られた…今度は触られた。もうお婿に行けない…。」
着替え中のことを思い出しながら、すすり泣く直樹の頭を優華は撫でてあげた。
「主人公は阿部に決まりだ!」
亮司が拳を高く上げながら叫ぶ。
「だから俺は嫌だって。もう、あんな姿で人前に出たくないし、劇で女の子に成りきるなんて無理だ!!」
立ち上がって抗議する直樹。
「大丈夫デスヨ!この『ナリキレ〜ル』があれば何にでも成りきれマス!」
エリーゼがSF映画で出てきそうな銃を直樹に向ける。
「や、止めろ!止めてくれ、エリーゼ!!」
「痛くないカラ、大丈夫〜!」
赤い光線が直樹に当たった。
「直樹さん、大丈夫ですか!?」
