「おしとやかって、お嬢様みたいな感じなの?」
意外にも彩華が聞いてきた。
「ただのお嬢様ではダメだ。セントリーに通えるくらいの上流階級のお嬢様が必要だ。」
「じゃあ、さおりんは?」
後ろの席の沙織を見る。
「すまないが彩華、私はおしとやかという時点でアウトだよ。」
「そっか。じゃあ…。」
クラスを見回す。そしてある人と目が合った。
「そうだよ!直樹くんがいるじゃん!」
興奮のあまり机に乗り出しながら言う彩華。
「おいおい神崎・姉よ。阿部は男だ、無理に決まっているだろ。」
「これを見ても、まだ同じ事が言えるかな?」
彩華は自分のケータイを開ける。そして待ち受け画面を亮司に見せた。
「ん?………………………これだ〜!!これこそ俺が求めていた女性だぁ〜!!」
「直樹くんが女装するとこうなるんだよ。かわいいでしょ?」
彩華がクラスメイト達に見せて回る。
「うわっ!?めっちゃかわいいじゃん!」
「え!?これ阿部くん?かわいい〜!」
「付き合いて〜!!でも阿部なんだろ…。」
「男は無理だけど、これなら…。」
1人危ない人がいるが、クラスメイト達が直樹を見つめた。
