【1年2組】




直樹達の教室では、どんな劇にするかを決めようとしていた。






「それでは何の劇にするか、希望がある方はいますか?」




龍堂の天使(直樹や一部の生徒が言っている、彩華の通り名)こと彩華が前に出て、意見を集めていた。ちなみに直樹は後ろにいて、チョークを持ってスタンバイしている。







「俺が考えたオリジナルの作品はどうかな?」




自信あり気に言いながら立ち上がるのは、廣島亮司。以前、直樹と優華に劇の役を依頼した人物。





「おもしろそうですね、みなさん異論はありませんか?」




ないよと言うように、沈黙で答える。







「それでは廣島さんのオリジナ―――」





「ちょっと待ってくれ。確かに俺の考えた作品は素晴らしい内容になった。だが俺が求める主人公に合う人がここにいない!!」




眼鏡の位置を整えながら叫ぶ。








「ちなみに主人公はどんな人なんでしょう?」





「よくぞ聞いた神崎・妹よ!!今回の主人公は女。それに必要なのはおしとやかなタイプ。このクラスでその役ができるのは神崎・妹くらい、だが神崎・妹には他にピッタリすぎる役があるんだ!だから主人公の役が空席になっているんだ…。」