「糖分を取りなさい。気分が良くなる。」
「もぐもぐ……どうして……もぐもぐ……殺さないのよ……もぐもぐ。」
チョコを一生懸命噛み砕きながら話す。
「さっきも言った、必要ない。ただ、1つだけ聞きたいことがあるんだ。」
「なによ?」
「直樹は本気で好きなのか?」
「だったら悪いっての!?」
怒った遥を見た蓮は笑みを浮かべて、遥の頭にポンと手を置く。
「本気ならいいんだよ。」
そう言って、蓮は遥の髪をクシャクシャにするように強く撫でる。
「(たしかお姉様も、いきなり口に物を入れたり、こんな撫で方したっけ…。)」
なぜか遥の頭には姉の円に撫でられるような気持ちになる。
「それじゃ、私は行くよ。ああ、これあげる。」
強引に板チョコを渡し、蓮は歩いていった。
「あれがお姉様が認めた人………か。」
パキッともらったチョコを食べながら、遥は蓮の背中を見ていた。
