直樹は椅子に座り、夕日を眺めていた。





「まだいたの?他に何か用があるの?」





「いや、朝から走りっぱなしだったからさ。」





「そう言えば今日は騒がしかったわね。うるさくて本に集中できなかったわ。」




直樹の隣に座る。






「悪かったな、チョコレート銃から逃げてたんだ。」




「チョコレート?ああ、そうだわ。」




何かを思い出し、机に置いていた鞄から小さな箱を取り出す。






「これ。あげるわ。」




「ありがとう、食べていい?」




遥が頷いたのを見て、直樹は箱を開けてチョコを食べる。






「それ、本命だから。」




「ゴホッ!?」




驚いて咳き込む直樹。







「冗談よ、売店で安かったから買っただけ。」




無表情で本を読みながら言う。






「そ、そっか…。」




………………………。





……………。





……。





直樹が帰り、遥は図書室の鍵を閉め、寮へ帰ろうと廊下を歩く。





「ん?」




前から板チョコをくわえた蓮が歩いてきた。





「チョコ食うか?」




かじりかけのチョコを遥に差し出す。






「いりません。」




「ああ、『血』の方がいいか?」




パキッとチョコを食べながら言った。






「何のことです?」