「中学で一年くらい着てたヤツだよ。でも兄貴、そのスーツは押し入れに入れてたんじゃ…。」
「侵入者発見。警備モードから捕縛モードへ移行します。」
猫スーツから音声が鳴る。
「コイツ兄貴じゃない!?」
ズドドドドッと、反射的に彩華が銃を連射する。
弾が猫スーツの左腕に当たり、腕が外れる。
「え?中に入ってない?」
「アレには自動で動く機能がついてるんだよ。多分兄貴が警備に使ったんだと思う。」
「でも、いいの?壊しちゃっても…。」
猫スーツが近づいてくる。
「我が夫となるもは、さらにおぞましいモノを見るだろう。」
「え……?」
なんだろう?どこかで聞いたことがあるセリフ…。
「『嵐の谷のノウシカ』に出てくる、殿下のセリフだよ!声までソックリだ〜!」
彩華が飛び跳ねながら喜ぶ。
猫スーツは外れた左腕を付け直す。
「不死身なの!?彩華さん、とりあえず逃げよう。」
彩華の手を引っ張って走る。
