「もう戻れ直樹。」
ネクタイから手を離し、蓮は椅子に座って、またギターを弾き始める。直樹は無言で生徒会室を出た。
蓮は弾くのを止めて溜め息を吐く。
ピピピッとケータイが鳴る。ディスプレイにはエリーゼの祖父、アルフォードの名前が出ていた。
「もしもし。」
『すまんな、今は大丈夫か?』
「ああ、大丈夫だよ。さっき直樹がエリーゼの両親の事を聞いてきたとこだった。」
『そうか…。』
「大丈夫だ、教えていない。」
前髪をイジリながら言う。
「で?話しは何よ。」
『ああ。実は最近ヤツらの動きが活発になってきたと情報が入ってな。』
「こっちは大丈夫だ。エリーゼの安全は保証すると約束しただろう?」
『わかっている。お前に預けているなら安心だ。だが、一応言っておきたかっただけだ。』
「ご忠告どうも。そっちも気をつけろよ。」
『ああ、わかっている。それではな。』
ブツっと電話が切れる。
