「後輩に何しようとしてんのよアンタ!!」
怒りに満ちた顔をしている雪がいた。
「まだ仕事残ってるんだから、さっさと来なさい!!」
段ボールを左手に持ち、動かなくなった菫の足首を右手に持って引きずっていった。
「チョコレート…渡せなかったな。」
小さな箱を見ながら初美は呟いた。
………………………。
………………。
………。
【学食】
人込みに隠れながら、直樹とエリーゼは昼食を食べていた。
「ナオキ、あんまりくっつくと食べにくいデス。」
「だってさ…。」
周りからしたら付き合っているのだろうかと思うくらい2人は密着していた。
「マァ、たまにはイイかもネ。」
特大のカツ丼を頬張りながらエリーゼは呟く。
「ナオキはパパとママいますカ?」
「いきなりだな。いるけど、それがどうした?」
「エリーゼは会ったことないデス。どこにいるのかも、生きているのかも…わからないデス。」
食べていたカツ丼を置いて話し始めるエリーゼ。
「物心がついたときからグランパが親代わりデシタ。他の子と違ってマスけど、寂しくはなかったデス。デモ……やっぱり会いたかった。1人で捜したケド、見つからないし、グランパにも怒られマシタ。」
