「すまない、大丈夫か?」
「はい…すいません。」
初美は立ち上がり、前を見ると、段ボールを何個も重ねて持っている菫がいた。
「初美か。すまないな、前が見づらくてね。」
段ボールを置いて、初美のスカートの汚れを払う。
「自分でやりますから…。」
「いや、じっとしていなさい。」
ニヤリと菫が微笑んだ。
プニプニ。
「ヒィィ!?」
いきなりお尻を触られたので驚き、お尻を両手で隠しながら飛び跳ねる初美。
「な、何を…。」
「君は安産型のようだな。良かったな、心配していたんだ。」
あははと笑う菫。
「(どうして先輩に心配されるの!?)」
涙ぐみながら菫との距離を取る。
「あの…先輩。男の人って、みんなチョコレートをもらうと自分の事が好きと思うんですか?」
「ふむ。実にいい質問だ。答えるとするなら、それは正解であり、不正解だ。」
腕組みをしながら言う。
「男はチョコをもらったことに、少なからず好感を持ってくれていると思うだろう。それを好意と取るか、友情やお礼と取るか…それは人それぞれだ。簡単に言うと勘違いする者と、鈍い者がいるということだよ。」
「鈍い者?」
初美が首を傾げながら言った。
「そうだな、説明すると…。」
どう説明するか悩んでいると…。
