「エリーゼぇぇぇ〜!!」
「ナ、ナオキ!?どこ行くですカ〜!??」
直樹がエリーゼの手を掴んで教室から飛び出して行った。
「待ってよ〜!!」
それに続いて彩華も飛び出して行った。
………………………。
……………。
……。
【1年7組】
ここには彩華とは逆に、チョコレートを渡せずに困っている女の子がいた。
赤髪のおさげを右肩にかけている女の子。真家初美である。
「(どうしてみんな平気に渡せるんだろう…。)」
膝に乗せたリボンのついた小さな箱をつついている。
「(迷惑かけちゃってるし、風紀委員の人に渡そうと思って作ったけど…やっぱり男の人怖いよ…。でも頑張らないと。いつまでもこんなんじゃダメだから。)」
初美は立ち上がり、気だるそうに黒板消しを動かす男の子へ近づく。
「ダルいな…。なんで日直ってものがあるんだ?」
茶葉の男の子、風紀委員の塩沢海である。
「あ…あの。」
「ん?なんだ初美か。珍しいな、俺に用か?」
「う…。」
ビクッと震えるが、勇気を振り絞り、箱を差し出す。
「こ…これ…。」
「え?もしかして…チョコレート?」
海の言葉に頷く初美。
