「おかしいと思ったんだ。あの商店街で団体を南の島へ招待できる費用はないからな。政府が裏で仕組んだことか。」
呆れた顔をしながら蓮は呟いた。
「傷つけてもいいが殺すなよ、あれは研究素材だ。」
銃を構えながら1人の男が言った。
「ナメるなよ。」
パーカーが宙を舞い上がって、一瞬で移動した蓮は、大人達の後ろにいた。蓮の爪には血がついていた。
「斬狼滅爪(ざんろうめっそう)。」
言い終えると同時に大人達が倒れた。
「約束したんだ。強くなるまで私が守ると。」
動かなくなった大人達を引っ張りながら、蓮は海の中に消えた。
………………………。
……………。
……。
カーテンの隙間から朝日が差し込む。その光は寝ていた直樹の顔に当たり、目覚まし代わりとなった。
「う…。ん?あれ〜?俺…いつの間に部屋に〜?」
寝ぼけて、目が半分も開いていないまま、直樹は部屋のドアを開けて出ようとすると何かに躓(つまづ)き、倒れる。
顔に柔らかいモノが当たる。
「ん〜?いい枕だな〜おやすみ〜。」
もう一度眠りについた直樹だった。
一体どれくらい時間が経っただろうか。
「なぜ廊下に枕がっ!?」
寝る前の自分の発言に違和感を覚えて起き上がる。それと同時に銀色の長い髪が舞い上がった。
モニュ。
「え?」
直樹は下を見たくなかった。
