牛乳と猫スーツ。




うつむきながら直樹は言った。






「お前は本当に優しいな…。」




そう言って、蓮は直樹を抱きしめた。パーカーを羽織っているだけなので、素肌に当たる。ちょうど耳が心臓の位置にあり、トクントクンと蓮の鼓動が聞こえた。







「私が必ず育て上げる。守れる力を、好きな人を守れる力をお前にあげる。」




心臓の鼓動を聞いていた直樹は、まぶたがゆっくりと閉じていく。






「だからそれまでは、私がお前達を守る。この命に代えても。」




目線を下げて直樹を見ると、寝息を立てていた。



………………。




………。




…。







自分の膝を枕代わりにさせて直樹を寝かせながら、蓮はしばらく海を見ながら波の音を聞いていた。





「寝たのか。」




「ぐっすりと。」




後ろから次狼が歩いてきた。






「直樹は俺が部屋まで連れて行く。お前も早く寝ろよ。」





「ああ、ありがと。」




直樹を背負って、次狼は戻っていった。その後も、蓮は海を見ていた。






「どおりで海がざわついているわけだ。」




言い終えると同時に、海から酸素ボンベをつけた大人達が現れた。