「ヒィィィ!?ち、近づけるなぁ!」
涙目で拒絶する蓮。
「私はそれがダメなんだよぅ!!」
「ま、まさか会長の苦手な物って……このお化けエビなんですか?」
「そうだよぅ!だから頼むからそれをどっかにやってくれ!!」
尋常ではない蓮の反応に直樹は水槽を包装しなおした。
「これでとりあえず見えませんよ。」
蓮は直樹の後ろで震えながら包装された水槽を見る。
「あいつら逃げたりしない?」
「しないですよ。後で魔の森に逃がしてきます。」
「そうか…。」
安心したようで蓮は直樹から離れる。
しかし数分後…。
「うわぁぁぁぁ〜!??よりにもよって直樹に知られたぁ〜!!」
膝をつき、頭を抱えながら叫ぶ蓮。
「いや、別に誰にも言いませんよ…。」
「約束しろ。誰かに言ったら…。」
「約束しますよ、言いません。」
「よし。」
安堵した表情で蓮は頷いた。
「しかし、一体誰が…。」
「そう言えば、あの配達員…誰かに似てた気がするんですよね。」
直樹はもう一度配達員を思い浮かべた。
「あ。声変えてたけど、あれ菫さんだ。」
「そうか、菫か。フフフ、アハハハ………殺す。」
その日、蓮の高笑いと菫の悲鳴が学園に響いた。