「また…この音。」
直樹はまぶたを閉じた。
「ゆっくりと眠りなさい。」
ポケットから小さなナイフを取り出して、直樹の右手の甲に傷を付けて、血を飲み始める。
数分くらい飲み続け、満足した遥が眼鏡を外して洗面台に向かう。
黒のカラーコンタクトを外すと、遥の瞳は赤くなっていた。
「やっぱり私は直樹が好き…。」
直樹の隣まで歩いていく。
「あなたが望むなら、私が全て叶えてあげるわ。この身も心も直樹にあげる。」
直樹の前髪を上げてキスをする。
「あなたは私のモノ。だからあなたに害をなす敵と、よってくる女は……私が殺してあげる。」
懐から短剣を取り出す。それは宝剣のように装飾されていた。
その短剣に自分の指を当てて切り傷をつける。血の付いた指で直樹の傷をなぞるように血を付ける。
すると傷がみるみるうちに治っていった。
「神崎彩華…あの女は邪魔だけど、お姉様が動くまで手は出せない。だから花火(戦争)が始まるまで、心に剣で傷つけるように、私という存在をあなたに刻んであげるわ。」
自分の血が付いた短剣を舐める。
「逃がさないわよ…直樹。」
クスッと笑って、遥は部屋を出て行った。
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