牛乳と猫スーツ。




****エリーゼの回想****




お昼を食べに行こうと、エリーゼは部屋を出た。





「お腹すいたデス〜。」




ぐぅ〜とお腹を鳴らしながら寮の廊下を歩いていた。






「Oh!?」




不意に窓の外を見ると、季節はずれの白い蝶が飛んでいた。




「待テ、待テ〜!」




窓から中庭へ出て蝶を追いかける。




蝶は、まるで捕まえてごらんと言うように、エリーゼの少し上を飛ぶ。







「ン!ホイ!ハッ!」




何度も手を伸ばして捕まえようとするが、ヒラリヒラリとかわされる。





ぐぅ〜と一際大きくお腹が鳴って、その場にペタリと座り込んでしまう。蝶はエリーゼの前にある少し背の高い草の上に止まった。






「お腹すきマシタ…。」




蝶を見ながら呟く。そして視線を蝶から草へと移す。それは以前、沙織に教えてもらった食べられる草だった。






「いただきマ〜ス!!!」



エリーゼは草にかぶりつき、ムシャムシャと食べた。





「アレ?蝶がいないナ〜。」




周りを見渡しても、蝶はいなかった。




「逃げられマシタ…。」




***************





「蝶に逃げられちゃったヨ。」




あははと笑うエリーゼ。




「草、食べたのか…。」




「なかなか美味だったヨ。ナオキも今度食べてみタラ?」




「あはは…。遠慮するよ。」




苦笑いする直樹。





「エリちゃん、リップ変えたの?」




「ン?今日は何もつけてナイ。」




「え?でも、ラメが付いてるよ?」




彩華が手鏡を出してエリーゼに渡す。





「ホントですネ…。」