****エリーゼの回想****
お昼を食べに行こうと、エリーゼは部屋を出た。
「お腹すいたデス〜。」
ぐぅ〜とお腹を鳴らしながら寮の廊下を歩いていた。
「Oh!?」
不意に窓の外を見ると、季節はずれの白い蝶が飛んでいた。
「待テ、待テ〜!」
窓から中庭へ出て蝶を追いかける。
蝶は、まるで捕まえてごらんと言うように、エリーゼの少し上を飛ぶ。
「ン!ホイ!ハッ!」
何度も手を伸ばして捕まえようとするが、ヒラリヒラリとかわされる。
ぐぅ〜と一際大きくお腹が鳴って、その場にペタリと座り込んでしまう。蝶はエリーゼの前にある少し背の高い草の上に止まった。
「お腹すきマシタ…。」
蝶を見ながら呟く。そして視線を蝶から草へと移す。それは以前、沙織に教えてもらった食べられる草だった。
「いただきマ〜ス!!!」
エリーゼは草にかぶりつき、ムシャムシャと食べた。
「アレ?蝶がいないナ〜。」
周りを見渡しても、蝶はいなかった。
「逃げられマシタ…。」
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「蝶に逃げられちゃったヨ。」
あははと笑うエリーゼ。
「草、食べたのか…。」
「なかなか美味だったヨ。ナオキも今度食べてみタラ?」
「あはは…。遠慮するよ。」
苦笑いする直樹。
「エリちゃん、リップ変えたの?」
「ン?今日は何もつけてナイ。」
「え?でも、ラメが付いてるよ?」
彩華が手鏡を出してエリーゼに渡す。
「ホントですネ…。」
