学食を後にした直樹と彩華は、買っておいたサンドイッチとジュースを持って寮の中庭のテラスに来た。
「今日は暖かいね〜。」
「そうだね、たまに外で食べるのもいいね。」
他の寮生もテラスで昼ご飯を食べているが、やはりまだ肌寒さが感じるので数人しかいない。
2人は中庭に近い手前の席に座り、サンドイッチが入っている箱を開ける。直樹は全種類入ったセット、彩華はカツサンドと卵サンドが入ったセットだ。
「うま〜い!」
カツサンドを食べて、幸せそうな顔をする彩華。
「うん、うまい。」
生ハムとレタスのサンドイッチを一口食べる直樹。
「おいしそうだね、直樹くん。」
「え?」
「食べたいな〜。」
彩華のポニーテールが尻尾のように左右に揺れる。
「これ1つしかないんだけど…。」
直樹のセットは全種類入っているが、1つづつしか入っていない。
「『ソレ』が食べたいな〜。」
「食べかけだけど……いいの?」
「いいよ!いいよ!…………むしろソレがいいんだよ。」
途中から小声で言う。
