「その名は言うなと言ったぞ、栄治。」
ギロッと真由香に睨(にら)まれて、栄治は金縛りにあったように固まり、その体にワイヤーが巻き付いていく。
「一瞬で死ぬか、ゆっくり死ぬか、どっちがいい?」
「っ!?」
声を出そうとするが、どんなに叫ぼうとしても出なかった。
「決められないなら、私が決めてやる。一瞬で死ね。」
ギリギリと徐々にワイヤーが締めついていき、肉を裂いていく。
「がっ……あ……。」
逃れられないワイヤーと死に、栄治の目から涙が流れた。
「さようなら。」
一際大きな肉の裂ける音が聞こえ、その場には風の音しか聞こえなくなった。
「冷えるわね…。」
ワイヤーを戻し、真由香は闇の中に消えていった…。
裏の世界に法律など存在しない。
生か死か、その2つだけである。