「いててて…。」
タフな相手以外には。
起き上がる悠斗を見て、直樹は大きな溜め息を吐く。
「タフすぎ…。」
「鍛え方が違うんだよ!」
立ち上がる悠斗だが、その両足は震え、呼吸も乱れている。
「悠斗〜!頑張って〜!!」
審判の真里香が悠斗に手を振る。
「フフフッ…フハハハハハ〜!!」
足の震えが止まり、呼吸も整った悠斗が笑い出す。
「はぁ〜!?ちょ、ちょっと、もう回復!??」
「愛の力だ!!」
悠斗が突進してくる。直樹も走り悠斗の腹に拳を撃ち込む。
「や、やったか…。」
拳を撃ち込むと悠斗は止まったので、直樹は安心する。
「はぁ〜〜っ。」
腹の底から出したような、力を込める声が聞こえた。
「えっ?な―――――ガハッ!??」
直樹が気づいたときには遅かった。
すでに拳が下からえぐるような角度で撃ち出され、直樹の腹に打ち込まれていた。
「これが、愛の一撃だ。」
悠斗の全力の一撃をゼロ距離で受けた直樹が吹き飛ぶ。
「そこまで!悠斗の勝ち!」
真里香が直樹を戦闘不能と判断して、悠斗の勝利を告げる。
「ヨッシャ〜!!」
高らかに拳を上げる悠斗。
「キャ〜!悠斗〜!」
悠斗に抱き付く真里香。
