さらに、お前はもっと力が強くなると蓮が言っていたので、悠斗の拳がまだまだ強くなることを考えると、直樹は気が重くなるのだった。




しかし直樹も強くなっていた。






「こっちも一気にいかせてもらう。」




体勢を低くして、一気に悠斗の懐に入る。






「うおっ!?」




その直樹に膝蹴りを入れるが、直樹の体がグニャリと歪む。







「ヤベッ!残像か!!」





「残念。」




背後から声が聞こえたと思えば、背中に直樹の蹴りが入る。吹き飛ぶまではいかないが、直樹にとって体勢が崩れただけで十分だった。






倒れかけた悠斗の下に潜り込み、腹を蹴り上げる。さすがに体重の重い悠斗の体はなかなか空中へ上がらないが、何度も蹴り上げて上へ上へと上げていく。





学園の校舎半分位まで蹴り上げると、360°全方位を攻撃する。攻撃して吹き飛ばして、瞬時に先に移動し、また吹き飛ばす。







「幻狼流牙撃!」





トドメの踵落としを入れ、悠斗は地面に叩きつけられる。






「うっ……。」




着地した直樹がフラつく。蓮に教えてもらった技だが、かなり体力が消費する技で、相手の体重が重いと、その消費量は増大する。





だが一撃必殺に近い技だ。