【蓮の部屋】
「兄貴〜。来たよ〜!」
ガチャッとドアを開けて彩華が中へ入る。
「あれ?兄貴〜?いないのか…。」
部屋の真ん中でキョロキョロと辺りを見回したり、別の部屋を覗くが蓮はいなかった。
「にゃ〜!」
足元に駆け寄ってきたシロウが彩華の足に顔をこすりつける。
「人懐っこいな〜シロウは〜。」
リュックと鞄を床に置いて、シロウを抱き上げる。
そんな彩華をソファで寝ていたクロアは片目を少し開けて、興味なさそうにもう一度眠りにつく。
「ううっ…。やっぱりクロアは来ないか。威嚇されなくなっただけマシだけど…。」
彩華は少し残念そうに苦笑いする。
「もう来てたのか。」
後ろからエコバックに食材を入れた蓮が歩いてきた。
「にゃ。」
クロアはゆっくり歩いていき、蓮の前に座る。
「ご苦労様、クロア。」
蓮に頭を撫でてもらうとクロアは嬉しそうな顔をした。
