それはまるで、ピッチャーがキレのいいストレートを投げ、キャッチャーのミットへ一直線に進むが如く、優華の額の中心へ飛ぶ。





「え?な―――――ぐへっ!?」




ベシッとホックの片割れがヒットして、優華は倒れた。








「ゆ、優華?ちょっと!大丈夫!?起きてよ〜!!」






【数分後】




「姉さん、何なのコレは!!」




ホックの片割れを持って、問い詰める優華。






「スカートのホックは弾け飛ぶし!上の制服はピチピチだし!」





「いいじゃん!誰に迷惑かけるわけでも―――――」




「今さっき、かけたでしょ!!」




「たまたまだよ〜。被害妄想激しいよ、優華〜。」






あははと笑う彩華。





ブチッ。




「ん?何か切れた?もしかして制服!?」




慌てて制服を確認するが、どこも切れてはいなかった。






「おかしいな〜?確かに何かが切れた音が――――」




不意に目線を前に向けた彩華。そこには黒優華こと、勇華になった優華がいた。






「あらら…。久しぶり…勇華…。さおりんとの戦い以来だね…。」