「お帰り、蓮♪待ってたのよ〜。」
サンドバッグを殴っていた時の声とはかけ離れた、少女のような声を出す雪。
「さあ、どんな言い訳を聞かせてくれるのかな〜♪」
雪が笑顔で2人に近付いてくる。
「直樹がやろうって言ったから…。」
「(裏切りやがったぁぁ〜〜っ!??)」
心の中で、直樹は全力で叫んだ。
「そう、直樹くんを巻き込んで、怒られたときの口実にしたのね。直樹くん、明日の朝の修行はお休みだから。」
さすがに付き合いが長い雪は、蓮の顔と言葉で全てを理解した。
「ち、ちょっと待て!話を聞け!!」
「判決……死刑!!」
雪は親指を立てて、首をかっ切るジェスチャーをする。
「や、やめろ、やめろ〜!!」
その日、朝方まで蓮の叫び声が聞こえた。
次の日、新館正面出入り口の真ん中には、縄でグルグル巻き状態で『反省中』と書かれた板を首にかけた蓮が天井に吊されていた。
