忍者屋敷のどんでん返しのように壁が回転して、直樹は中に吸い込まれるように倒れた。







ガシャン…。





何事もなかったかのように、壁は回転を止める。





「いたたた……。え?真っ暗…。」





目を開けると、そこには闇が広がっているようだった。直樹はケータイの写真機能のライトをつける。







すると、目の前に階段があった。とりあえず出口の確保をしようと、どんでん返しの壁を押そうとしてみるが、壁は全く動かなかった。






「進むしかないか…。」




何があるかわからないが、直樹は前へ歩き出した。





かなり昔に作られたのか、コンクリートの壁や階段は劣化していた。






階段を上りきると、左に続く道があった。







「どこだよここ…。」




ケータイを動かして周りを調べると、少し進んだところの壁に何かあることに気づく。







「なんだろ?」




直樹が近付くと、現在地が乗っている地図がコンクリートの壁に釘でとめられていた。






現在地と書かれた場所は、本来3階建ての寮には無いはずの4階で、男子寮の一番上だった。地図を見ると、どうやら男子寮と女子寮は4階で繋がっているようだ。





そして4階の中心部、そこには他の部屋とは比べものにならないほど大きな部屋があった。






「なんか先が見えた気がする…。」





直樹はその大きな部屋へと向かって歩き出した。




1分も経たないうちに部屋の前に着く。