「すいません、お話中に…。部活申請用紙を出したいんですけど、会長は見当たらないし、生徒会室には誰もいなかったので…。」
「あのバカ…。ちゃんと留守番してって言ったのに。ゴメンね、書類は私が預かるわ。」
女子生徒から申請用紙を受け取り、雪は席を立つ。
「それじゃあ、私は生徒会室に行かないといけないから。」
「お話、ありがとうございます。」
「別にいいよ。ああ、蓮を見かけたら生徒会室に来いって言っておいて〜。後、『来ないと殺す』もね。」
「は、はい…。」
笑いながらも指の骨をポキッと鳴らして、雪は学食を出た。
………………………。
……………。
……。
【蓮の場合】
部屋帰ろうと男子寮内を歩いていると、どこからか声が聞こえた気がした。
……っ………ぃ………。
「気のせいじゃ…ない…。」
耳を済ませてみる直樹。
……ぃ………ょ……。
かすかに聞こえる声の方へ歩いていくと、そこは何の変哲(へんてつ)もない壁だった。
…ぉ…………ゃ…。
「やっぱりここからだ!」
確信して壁に手を当てたときだった。
ガッゴン…。
