雪は訳が分からなくなっていた。自分よりすごいハッカーなんているはずがないはずだった。しかし今、自分が追い詰められている。暇潰しとはいえ、数年で築き上げた自信が潰されようとしている。
彼女は泣きながらキーボードを押し続けた。既に画面は真っ暗になっているのにもかかわらず…。
気が付くと教室のドアが開いており、蓮が立っていた。
そして、こう言った。
ありがとう。お前のおかげでパソコンの操作がうまくなった、もっと教えてくれないかと。
彼女は頷いていた。
蓮達と楽しい日々を過ごす雪は暇潰しを止めた。いや、止めたと言うより、暇潰しをする暇がないのだ。
なぜなら次々と楽しいことが始まるのだから。
「まあ、そんな事があったのよ。」
「そうなんですか…。」
「はい、終了〜。」
予算割りを終えて、ノートパソコンを閉じる。
「あの…副会長。」
「ん?」
雪の隣に一年生の女子生徒が立っていた。
