雪だった。
直樹は定食を買って、雪に話しかけた。
「朝は助かりました、雪さん。」
「どういたしまして、直樹くん。次狼いないし、前どうぞ。」
いつも次狼が座る席を勧められて、直樹は座る。
「何かあった?」
「え?」
「何か考え事してる顔だから。」
正方形に切られたハムとレタスのサンドイッチを食べる雪。小さくて何種類もある、女子生徒に人気のサンドイッチセットである。
「次狼さんの昔の話を聞いたんです。」
「次狼の?」
「はい、てっきり初めから仲良かったんだとばかり思っていたんで…。」
「ああ、派手にやり合ってたからね。」
「雪さんも中学からですよね、会長と出会ったのは。」
「そうよ。私も次狼とよく似た感じの出会い方だけどね。」
焼き卵サンドを口に入れる。
「えぇぇっ!?雪さんも会長と戦ったんですか!??」
「殴り合ったわけじゃないよ、また別の戦い。菫と麗花は戦ってないけどね、まあ幼馴染みだし当然だけど。」
