だが、地面に倒れていたのは次狼だった。





そんな次狼に蓮は手を差し出しながらこう言った。






友達にならないかと。





次狼は一瞬、耳を疑った。自分を殺そうとした者に手を差し出して、あまつさえ友達にならないと言ってきたのだから。






しかし気付けば次狼は蓮の手を握っていた。





「そして、いつの間にか俺はアイツの隣にいたよ。」





コーヒーを飲み終えて、カップを置く次狼。







「そんなことが…。」





次狼の話を聞き入っていたので、直樹のコーヒーはすっかり冷たくなっていた。部屋の暖かさのせいか、それとも次狼の意外な過去のせいか、喉がカラカラになっており、コーヒーを一気に飲み干す。






しばし沈黙が続いていたとき、次狼のケータイが鳴る。






「俺だ。ああ、わかった。」





電話を切り、ポケットに直す。







「すまん、蓮が何かやらかそうとしているらしいから行ってくる。」






「あ、はい。すみません、長居しちゃって。」





「いや、たまには昔話もいいさ。」




これから蓮を捜しにいく次狼は、とても優しい顔をしていた。





………………………。





……………。





……。







【雪の場合】





次狼の部屋を出た直樹は昼ご飯を食べようと学食へ向かった。生徒会メンバー専用の席には1人だけ座っていた。