「な…なんとか……。」
相田が起き上がる。
「すみません…。友達のサーブが外れてしまって…。あれ?お兄ちゃん…?」
深見さんが相田を支えながら言う。
「え?俺に妹はいないけど…。」
「ごめんなさい。兄に似ていたもので…。」
相田をベンチに座わらせる。
「ホントにごめんなさい…。」
「いや、大丈夫だから…。」
「友達を待たせているのでこれで失礼します。お詫びは必ずしますので…。」
深見さんがボール持ってこちらに戻ってくる。
「なかなかの演技だった。」
蓮が親指を立てた。
「はい。自分でも、うまくできたと思います。」
深見さんが微笑みながら言う。
「ボールぶつけて、謝って帰ってきただけじゃないのか?」
「私も同じ意見です…。」
直樹が優華と話していると。
「あまいな、キミたちは…。顔を合わせたときの言葉を聞いていないのか?」
腕を組みながら菫が言う。
「上目遣いで『お兄ちゃん』と言われたら、ロリで妹萌えな相田には効果抜群。」
「話するだけなのに、そこまでしますか……。」
もはや理解不能だった。
「深見、アレは持ってきたよな?」
「はい。ここに…。」
蓮に言われて深見さんが小さな包みを出す。
「よ〜し。それで息の根を止めてこい!」
「はい。いってきます。」
深見さんが歩き出す。
