放課後になるまで、沙織の口の中が潤うことはない。
周りからは『うみゃ〜棒の悪夢』と言われている。
「(す、すまない蓮…。この子達のことを頼まれたが、早くも心が折れそうだ……。)」
頑張ってうみゃ〜棒を食べる沙織が心の中で呟いた。
キーンコーンと3限の予鈴が鳴り、みんな教室に自分の戻り席につく。
………………………。
……………。
……。
【2年6組】
「国士無双。」
自分の牌を見せる蓮。
「お前なぁ!国士を何回やるんだよ!!!」
「麻雀部部長の私が勝てないなんて…。」
「無念…。」
教室の後ろで蓮とクラスメイト3人が麻雀をしていた。
「見事にかもられてるな…。」
次狼が頬杖突きながら嘆くクラスメイトを見ている。
「確か蓮と張合えるのって、麗花と円くらいだったっけ?」
雪は興味なさそうにパソコンを操作しながら言う。
「ああ、3年前のあの泥仕合は忘れたくても忘れられないよ。まあ、今日の昼食は豪華になりそうだ。」
刀の手入れをしながら答える菫。その目先には、蓮が獲得した食券の山があった。
