「なごみ…ちゃん?」
直樹は口に出したつもりはなかったのだが、出ていたらしく、氷と文乃が直樹を見る。
「おっと、聞かれてしまいましたにゃ〜。名越の『なご』と文乃の『み』を合わせて『なごみ』つまり和みと言うわけだにゃ。」
「フフフ。文乃ちゃんとは高校の時に出会ってね、結子がそのあだ名をつけたのよ〜。」
「先生達は高校が同じだったんですか?」
「出会いが高校、大学も同じなの〜。」
嬉しそうに氷が話す。
「それでは氷先輩、行きましょうかにゃ〜。」
「そうね。それじゃね、直樹君。」
2人は話をしながら歩いていった。
直樹もトイレを済ませて教室に戻る。するとそこには、この数日で見慣れた光景が繰り広げられていた。
「さおり〜ん!うみゃ〜棒だよ!次は、カレーとサラダと明太子ね〜!」
彩華が沙織に駄菓子をあげる。
「うっ!?あ…ああ、ありがとう…。」
沙織は嬉しそうな彩華に見られながら、サクサクと駄菓子を食べる。
沙織が仲間になった次の日から、これが毎日、全ての休憩時間に行われている。
毎回味は変わるが、うみゃ〜棒には変わりはないので、口の中の水分が奪われていく。
