【屋上】





屋上へのドアを開き、沙織は一面オレンジ色の世界に出る。







「にゃ〜。」「にゃ。」




給水タンクの隣のお気に入りスペースで座り、黒猫と白猫を膝に乗せている蓮がいた。








「フ〜ッ!!」




沙織に気づいた黒猫のクロアが毛を逆立てて威嚇する。







「お邪魔だったかな?」





「いや、かまわないよ。」



蓮が頭を撫でるてあげると、クロアは威嚇を止めて、気持ちよさそうに蓮に身を預ける。






「沙織…どうして途中、手を抜いた?」





「やはりバレてたか。直樹達の実力を見たかった君達にはつまらなかっただろうな。」





手すりにもたれながら沙織が空を見上げながら言った。






「まあ、優華のあの人格が出たことだけでも大きな収穫だ。」




「聞いてはいたが、あれは驚いたよ。」





「優華と勇華(ゆうか)、花にはトゲがあるものだ。新生徒会か…沙織がいてくれるなら安心だ。あの子達を頼むな。」






「ああ、頼まれたよ。」