「(彩華さん?)」
直樹は走ってくる彩華に気づく。直樹と目が合った彩華は笑いながらウィンクした。
「さおり〜ん!!」
沙織に向かって、走りながら銃をかまえる。
「!?」
背後の彩華に気づいた沙織は回避行動に移る。
カチャン。
弾は出ない。出るはずがない、弾がないのだから。
「なっ…。」
沙織は驚き、目を見開く。
それは一瞬の隙だった。
「うおりゃぁぁぁ〜!!」
直樹の攻撃が沙織の鳩尾に入った。
「ぐっ…がはっ!?」
腹を押さえて膝をつく沙織。
「(くっ…まだ、まだ立てる!)」
沙織が立ち上がろうとしたときだった。
「捕まえた〜!」
彩華が後ろから沙織に抱きつく。
「こ、この!離―――――」
「ZZZ〜〜。」
沙織が振り返ると、疲れきった彩華が寝ていた。
「……………はぁ。」
幸せな顔して眠る彩華を見て、沙織は溜め息を吐く。
「まだやるの?」
「いや、戦う意志がなくなってしまった。負けだ…私の。」
クスッと笑う沙織。
「この子に協力するよ。」
「よし!とりあえず彩華さんを部屋に運ぼう。」
………………………。
……………。
……。
