「う………。と、とにかく!私は飴では動かない。」
そう言って彩華から逃げるように、教室から出て行った。
「また逃げられた…。」
ガクッとうなだれる彩華。
「諦めたら?アレはあんたには扱えきれないわよ…。」
見ていた真里香が後ろから言う。
「恩か…。何かいい作戦ないかな〜?」
「ないこともないわよ。」
「ホント!?教えて真里香ちゃん!」
「学食のウルトラチョコレートパフェ。」
腕組みしながらニヤリと笑う真里香。
「うっ…う……。お、オーケー。」
彩華は財布の中身を確認して、渋々親指を立てる。
「交渉成立ね!放課後に作戦開始よ!」
………………………。
……………。
……。
【屋上】
1限目のチャイムが鳴る中、沙織はグラウンドを眺めるように佇んでいた。
「ふぅ…。」
小さく溜め息を吐きながら、落下防止用の柵にもたれる。
「お前が溜め息とは珍しいな。」
どこからか声が聞こえた。
「そういえば、ここは君のお気に入りの場所だったな。忘れていたよ…。」
給水タンクが立っている隣に、人1人分寝れるスペースがあり、そこには蓮が寝ていた。
