「別に悪いっていってないわよ。人目を気にしなさいってこと。」
「あはっはっは!私は嫌いじゃないよ、男はあれくらい堂々としてないとな!」
遠くの廊下から、雪と菫が2人を見ていた。その表情はとても優しい笑顔だった。
………………………。
……………。
……。
【直樹と悠斗の部屋】
「は?」
帰ってきた悠斗の話を聞いて、直樹はわけがわからずにいた。
「だから真里香に告白して、OKもらって、キスした。」
「………………。」
直樹はただ口を開けて悠斗を見ていた。
「なんだってぇ〜!?」
本日2度目の直樹の、なんだって発言。その叫び声は大地を揺るがすほどだった(過剰表現)。
「大丈夫か、直樹?」
「はぁぁ!?待って!ちょっと悠斗、ほん――――」
本気なのか?と言おうとして直樹は止めた。
確かにきっかけは勢いだったかもしれないが、悠斗は冗談で好きだとは言わないヤツだと直樹は知っている。
「大切にしてあげなよ。」
「あったりまえだ!」
笑いながら答える悠斗だったが、その瞳に強い意志が見えた。
【時間は過ぎて午後9時】
直樹と悠斗の部屋では、夕方に商店街で買ってきた食材と、カセットコンロと鍋(1つだけ特大)2つを、テーブルを2つくっつけた上に置いていた。
