目線をテーブルに向けると、お菓子は無く、高そうなお皿だけがそこにあった。次にエリーゼへ目線を向けると、まだ足りないのか、チョコレートを口の周りにつけてキョロキョロとお菓子を探していた。
「チョコついてるわよ、エリーゼ。」
「ふえ?」
真里香に言われて、舌で口の周りを舐めるが取れていない。
「じっとしてなさい。」
ポケットからハンカチを出して、エリーゼの口を拭いてあげる真里香。
「真里香さんって、私達のお姉さんみたいですよね。」
新しいお菓子を持ってきた優華がクスッと笑いながら言った。
「いらないわよ、こんな妹達なんか…。ちょっと優華、私達ってあなたも入ってるの!?」
「私だけ仲間外れは嫌ですから〜。」
「優華はいいけど…。この乙女と大食いは本当に勘弁してほしいわ。」
優華に入れてもらった紅茶を飲みながら、ソファーの背もたれに体を預ける。
「エリーゼは大食いじゃないデスヨ?」
ポッキーを数10本くわえながら言う。
「大食いはみんなそう言うのよ…。」
真里香がまた1つ大きな溜め息を吐く。
ドドドドドドド……。
入り口の方から騒がしい足音が聞こえてくる。
「な、何!?」
足音に驚いて入り口の方を見る真里香。そこには全力で走ってくる悠斗がいた。
真里香に気づいた悠斗が近づいていく。
「真里香!俺と付き合え!!」
冬休みだが、他の女子生徒が行き交う女子寮の真ん中で悠斗が叫んだ。
