蓮は円から、隣でズボンを掴んでいる女の子に目を向ける。



女の子はキョロキョロと周りを見ていた。どこかに母親がいるかもしれないと思って。





「お〜い!」



円が乗ったヘリが飛び立った方から、橋本が走ってきた。






「橋本さん。」




「良かった、無事だったんだね。あれ…その子は?」



その質問に蓮は少し困った顔をする。それだけで橋本は理解した。





「ねぇ、お母さん…どこ?」




ズボンを引っ張って蓮に尋ねる。





蓮はしゃがんで女の子と目線を合わせてから話し始めた。





「お母さんは…いないんだ。もう会えないんだよ。」




「ちょっと!?いくらなんでもこんな小さな子に!」



蓮の直接な言葉に橋本は慌て、女の子は泣き出す。




「いつかは知らなきゃいけない事だよ。それに私は嘘をつきたくない。」


意志のこもった目を見て橋本は何も言えなくなった。






「私と一緒に来るかい?キミと同じような子達がいる所があるんだ。」




「ひっく…わたしと…ひっく……いっしょ?」




「ああ、みんないい子達だよ。」




「ひっく……い…く。いく!」



涙を服の袖で拭って、力強く答えた。





「そうか、それじゃあ一緒に行こう。キミの名前は?」




「レン!」




「私と同じだな。」



2人は手を握り合ってヘリに乗り込もうとしたとき…。