「いや、ただ戦う理由ができただけだよ。」



蓮は足元に小さく夕日の光に反射する紐のような物を思いっきり引っ張る。




どこにあったのかはわからないが『ソレ』は回転しながら蓮へ向かって落ちてくる。





それを左手で受け止めた。『ソレ』は剣のようだった。普通の剣と違うのは両端に刃がついている。


その刃と刃の間にある柄を持って、まるでバトンのように回してから正面に構える。





片側の刃に『銀狼』と彫られていた。






「本気ね、蓮。そんなにあの女の子がかわいそう?」




「今まで何度も見てきたことだよ。でも、違うと言えば嘘になる。」




ギュッと両剣を握る手に力を込める。








「ざっと500人ね…。私達、株落ちたんじゃない?」




「どうでもいい。1分だ……1分で終わらせる!」





「了解♪」



その後、本当に1分くらいで戦いが終わった。





正確には52秒…。







【ヘリポート】



「それじゃ、一足お先に帰るわ。」



円が蓮に背を向けて歩き出す。





「円!私の意志は変わらない、私は気まぐれな『猫』だからね。」




「どうぞご自由に。私は力ずくであなたを倒すだけ、首洗って待ってなさい。」




振り返らずに円はヘリに乗り込んだ。