「さあ、踊りましょう。」


狼の尾のようなポニーテールをなびかせて、蓮が拳を構える。







「よろこんで。」




刀を地面に突き刺し、同じように構えた。



そして、ほぼ同時に走り出して拳と脚の攻防を繰り広げる。







それはまるで2人が踊っているような光景だった。




蓮の足払いを上へ飛んでかわし、円は勢い良く踵落としを入れる。








地面が割れ、コンクリートが飛び散るが、蓮の姿はなかった。







「っ!?」




気配に気づき、円が振り返ろうとしたとき…。







「遅い!」




背中に激しい衝撃を受けて、円が地面をえぐりながら吹き飛ぶ。






元いた場所には蓮が左足を90°開いて立っていた。








「十分に楽しんだでしょ?もう終わりにしよう、私には勝てないよ。」






「まったく…あなたは人の気も知らないで……。」





ビルの壁に突き刺さっていた刀を抜いて、フラつき転けそうになりながらも円は蓮に向かって歩く。








「誰のためにしていると思ってるのよ…。」





「円、お前……。」



蓮が円に近づこうとしたとき、ドンッと足元に銃弾が当たる。







いつの間にか、さっきまで戦っていた敵の仲間が蓮と円を包囲していた。