「これであなたと筋力は同等、スピードは私の方が上ね♪」
言い終えると同時に、蓮の背中に回し蹴りを入れる。
蓮は女の子の近くまで吹き飛んだ。
「っ!!?だ、大丈夫?」
女の子が蓮に駆け寄る。
「痛っ…。お母さんはどうした?」
「わかんない…はぐれちゃったの…。」
「そうか…。後で一緒に捜してあげるから、これを着て離れてなさい。」
蓮は自分のコートを女の子に渡して、この場から遠ざけ、背中の痛みを耐えながら立ち上がる蓮。
「他人の心配をしてる場合?」
背後の気配に気づいたときには遅かった。脇腹に蹴りを受けて、ビルにぶつかった。
「がはっ!?」
蓮が口から少量の血を吐く。
前を見ると、円が刀を持って立っていた。
「私の勝ちね♪」
「フフッ…。そのセリフは相手が動かなくなってから言うものだ。」
ジャケットから小さなビンを出して、入っている錠剤を噛み砕く。それは知佳に渡した薬と同じ…。
「今更何をしようと私には勝てないよ!!」
刀で蓮を貫いた。
貫いたはずだった。
しかし、刀は壁に突き刺さっているだけで、蓮はいなかった。
「確かに今のあなたは強い。だけど、スピードじゃ『私』には勝てないよ。」
円が振り返ると、そこには足元まである銀色の髪を、ジャケットに入れておいたリボンでポニーテールにしている蓮がいた。
