作戦開始時間が近づいたので、一度一カ所に集まろうと、全員が歩き出す。
「ああ、足は引っ張らないので安心してください。」
今だ唖然としている男達に蓮が言った。
作戦開始となったとき、空がオレンジ色に変わり始めていた。
傭兵達は1人1人自由に動く。寄せ集めなので集団で行動するより、個人で動くことの方がいいのだ。
しかし蓮の周りには数人の俺達がいた。何度か仕事を一緒にして、蓮の異常な強さ、的確な采配を見た彼らは、いつしか蓮を隊長と呼んでいた。
蓮と共に進んで行き、途中で蓮の作戦を聞き、別れる。
蓮は1人、中央広場に出た。
ビルに囲まれた広場は、まるで爆撃を受けたように、コンクリートで舗装された地面に穴が空き、所々亀裂が入っている。
蓮は広場の中心まで歩いて止まる。
どこからともなく現れた敵が蓮を包囲した。
「動くな。」
敵の1人が片手を上げると、映像が映し出されるように戦車が10台現れる。
「(なるほど、光学迷彩か…。どおりでレーダーで見つけられないわけだ。)」
敵と戦車の位置を把握しながら心の中で呟く蓮。
「まさかここで『北の狼』に会えるとは思わなかったぞ。」
「こいつを倒せば名が上がるぜ!」
敵がまるで大金を手にしたかのように笑う。
「銭勘定は倒してからにするべきだ。1番、3番、4番起爆!」
蓮の声と同時に爆発音が聞こえ、周りのビルが広場に崩れ落ちてくる。
