龍堂に帰ってきた直樹は着替えて中庭のベンチに座っていた。
「(あの時…。)」
直樹は銃を突きつけられた時を思い出していた。
「(彩華さんがいなかったら捕まっていた。完全に俺の負けだ…。)」
ギュッと手を握る。
「(強くなりたい。)」
いつの間にかケータイで電話をかけていた。
『もしもし?』
「ああ、会長。直樹です。」
『どうした直樹?』
ケータイの向こうから、蓮の声と同時に銃声が鳴り響いていた。
「今何か仕事してるんですか?」
『いや、ゲーセンでシューティングゲームしてるだけだが?それより何かあったか?』
「俺…もっと強くなりたいんです。」
『急にどうした?今でも普通より上くらい強いぞお前は。』
「今のままじゃダメなんです!会長みたいに…みんな守れるくらい強くなりたいんです!!」
『俺みたいにか…。』
そう言って、蓮は黙ってしまい、しばらく銃声しか聞こえてこなかった。
『本気なんだな?』
「はい!」
『なら、冬休みが明けたら鍛えてやる。覚悟しとけよ、俺は厳しいぞ。』
「よろしくお願いします!」
目の前に蓮はいないが、立ち上がって礼をする。
