「直樹……?直子じゃなくて…直樹…?」
後ろで忍がわけがわからないという表情をしていた。
「ごめん、忍。騙す気はなかったんだけど…。」
「別にいい…おかげでみんな無事だった……。」
少し残念そうな顔をして忍が言った。
「そうそう、この後ダンスパーティーがあるんだけど、踊っていく?」
麗花が笑いながら言う。
「いやいや、もう女装は辛いんで俺達は帰りますよ!」
全力で首を横に振る直樹。
「そう、残念ね〜。気をつけて帰ってね。」
小さくなっていく直樹と彩華の背中を忍はジッと見ていた。
「友達ができたと思ったら直樹くんだったね。」
「いいです…1人はなれてます……。」
寂しそうな忍を見ていた麗花が後ろにいる人に気づいて、忍の肩を叩く。
振り返ると、さっき助けた女の子がいた。
「あの…さっきはありがとうございました!」
「いいよ……痛いとこない…?」
「う、うん…大丈夫。私、折原菜々子(おりはら ななこ)って言うの。あなたの名前は?」
「え…?忍…斉藤忍……。」
「忍さん…。よかったら、友達になってくれませんか?」
「友達…。うん、友達…。」
そう言って手を出す忍。菜々子も手を出して、握手する。
「それじゃあ、今日のダンスパーティー、一緒に踊りませんか?」
「わかった……。」
セントリーで友達が初めてできて頬を染める忍の頭を、麗花は優しく撫でた。
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……………。
……。
