「バレちゃったけど、どうする彩華さん。」
他の生徒が周りにいないのを確認してから話しかける。
「な、何を言ってるのかな!?彩華なんてしりませぬよ!」
ガタガタと段ボール箱を揺らしながら言う。
喋った時点でアウトじゃないのかと思った直樹だが、あえてツッコミは入れないことにした。
「どうしてついてきたの?このネックレスにつけたマイクとカメラの映像でレポート書くんじゃなかったの?」
「いや〜なんと言うか…その…。やっぱりカメラとかじゃダメだよ、自分で観察しないとね!」
この発言で、自分が彩華であることと、情報の漏洩(ろうえい)をしている。誘導尋問に弱いなと思った直樹だった。
「で、どうする?確かバレたら終わりじゃなかった?」
「そうだなぁ〜〜。」
……………………。
……………。
……。
約3時間前…。
【彩華と優華の部屋】
「よし、宿題終わりっと。」
宿題のプリントを終わらせて、シャーペンを机に置く直樹。
「うむ、ご苦労!」
なぜか上からの態度で、彩華がプリントを奪う。
「ちょっとは自分でやらないとダメだよ、彩華さん。」
「私は1人で宿題をしないことを、ここに誓います!」
ビシッと手を高らかに上げて、誇らしげに宣誓する。
「そうですか…。」
彩華が将来1人で生きていけるのか不安になる直樹だった。
