【セントリー女子学園・生徒会室】
部屋には会長席に腕組みしながら座る麗花と、デパートの屋上にいた女子生徒がいた。
「以上で報告を終わります。」
「ありがとう、下がりなさい。」
「はっ!」
敬礼して女子生徒が部屋を出て行く。
麗花は立ち上がり、壁に近寄る。
ドゴッ!!
麗花の拳が壁にめり込んでいた。
「神谷円…。あなたは一体何がしたいの!」
殺気と怒りに満ちた表情をしている。
そして壁から手を抜いて深呼吸する。
「ダメ、熱くなってはダメよ麗花…。心を乱して勝てるほど、円は弱くない。負ければ今までの苦労が水の泡じゃない…。」
頭を冷やそうと窓を開ける麗花。肌をつく冷たい風が吹く。
下に目をやると、忍が花の手入れをしていた。
あの純真無垢な笑顔を守るために、今まで戦ってきた。怒りに身を任せれば負けるのは目に見えている。
会長専用の机にある電話を使う。
「風紀委員に通達して。セントリー、龍堂の半径2キロを警戒、常にペアで行動、定時連絡を怠らないように。各員、2時間交代で任務にあたりなさい。」
ガチャンと電話を切る。
麗花は南の動きを警戒するが、これ以降、南が動くことはなかった。
まるで何かを待つように。
例えば、中から崩れるのを待つように…。
もし蓮がこの場にいれば、状況を把握していれば、どういう対処をしたのだろうか…。
しかし、無理な事を想像しても詮無きことである。