「スタミナ不足もだけど、頭に血が上ると弱くなるのは変わっていないね。」
「くっ…どけぇ!」
必死に体を動かそうとするが、両手を拘束され、先ほどの踵落としを受けて、腹筋に力が入らずに少し上半身を揺らすことしかできなかった。
「久しぶりに動いたから喉乾いちゃった。だから、あなたの血をもらうわね。」
円が口を開けると、異様に長い犬歯が見えた。
「な…何を!?」
「ん?だからあなたの血をもらうのよ。」
口を開けたまま、菫の首に近づいていく。
「にゃあ〜!」
「っ!?」
後ろの鳴き声に反応して、円は大きく飛び上がる。
落ちていたはずの黒龍が、回転しながら菫に向かって飛んできていた。
その回転に合わせて、手首に巻きつけられたワイヤーを切って刀を掴む。
「猫に邪魔されるとはね…。」
屋上の端まで飛び退いた円は、血が吸えなかったからか眉間にシワを寄せながら呟いた。
「にゃあ。」
「シロウ…お前が助けてくれたのか…ありがとう。何を背負っているんだ?」
シロウが背負っていた細長い木箱を手に取る。
「次狼か…本当に頼りになるよ。」
