「何かの間違いじゃないのか…?」
直樹の後ろには真里香と悠斗が椅子に座っていた。
「いいえ、会長。マジメです。」
真里香が立ち上がり、直樹の横に立つ。
「しかし……悠斗が風紀の副委員長とは…。」
「副委員長の任命は委員長権限のはずです!」
ドンと机を叩きながら言う真里香。
「それはわかってるが…。」
「会長が言いたいことはわかります。悠斗は日頃から問題を起こす生徒です。だからこそ風紀委員会に入れて更正させるべきです!!」
「お前がそこまで言うなら、俺は何も言わないよ。」
そう言って、机の引き出しを開けて、銀色の胸章を出す。
「卒業まで決まらないかと思っていたが、まさか悠斗に渡すことになるとはな。」
胸章を見ながら蓮が話す。
「大原悠斗。」
「はい。」
蓮に名前を呼ばれて悠斗が返事をし、近づく。
「風紀委員は生徒会長直属だ。俺の命令は絶対だぞ?」
「俺は真里香の言うことを聞くだけッスよ。」
「ち、ちょっと悠斗!?」
悠斗の言葉に驚いて、真里香が悠斗の脇腹を肘でつつく。
「ふふっ、ははは、あっははは!!」
急に蓮が笑い出す。
「それでいい、それが風紀委員に足りなかったものだ!あーはっはっは!!」
大笑いする蓮に驚いて、直樹と真里香が顔を見合わせる。
「ほら、胸章だ。」
銀色の胸章を悠斗に手渡す。
「はい、終了。資料整理の邪魔だ、ほら帰った帰った。」
追い出されるように生徒会室から出された。