直樹が蓮のピンと伸びた足を爪先から見ていくと、お馴染みの黒い布があった。
「(やっぱり黒か…。)」
「直樹さん、それ以上見ると一発入れますよ?」
優華が刀をチラつかせながら笑顔で言う。
「ご、ごめん…。」
視線をそらして謝る。
「それじゃ、私は生徒会室に行くから、何かあったら雪か次狼に言って。たぶんケータイの電源切ってるから。」
そう言って、蓮が部室から出て行った。
………………………。
……………。
……。
【4日後、12月23日・生徒会室】
蓮からメールがきたので、直樹は生徒会室のドアをノックし、中に入った。
「会長…ちゃんと寝ました?」
「………………ん……。」
直樹の前に立っている蓮は、銀の長髪はボサボサ、ブカブカのTシャツを1枚だけ着て、目は閉じて、涎をたらしていた。
「……………イベント……企画…書………。」
「はい?」
「…………企画書……持って…いって………次狼……。」
どうやら次狼と直樹を間違えたらしい。
「会長、俺は直樹ですよ…。次狼さんじゃないです。」
「……………Zzz……。」
立ちながら寝る蓮。
「チャ〜ンス!!」
聞き慣れた声と共に蓮の体にロープがグルグルと巻き付く。
「す、菫さん!?」
「フフッ…。寝不足の蓮など、蝸牛(かたつむり)を捕まえるより簡単な事だ!」
