「そういう季節だからね。」
羊羹(ようかん)を食べながら菫が呟く。
「「季節?」」
同時に言った直樹と優華が、同じように首を傾げる。
「もうすぐクリスマスだろう?聖なる夜は好きな人といたいものなんだよ。」
「そうなんですか…。菫さんもですか?」
「私か?私は近くに可愛い女の子がいれば幸せだよ。もしくは童顔の男の子だな、直樹くんは…セーフだ。」
「両刀使い!?って俺、童顔ですか!??」
慌ててケータイのカメラで自分を撮して見てみる。
「いやいや、君は特別という意味だよ。イブは私の部屋に来るかい?」
小悪魔な微笑みを浮かべながら、右手で直樹の左頬を撫でる。
「え?いや…ちょっ……。」
直樹は顔を赤くして、戸惑っていた。
「コホン!」
咳払いをした優華が、ジト〜ッとした目で直樹と菫を見る。
「ご、ごめん!優華さん。」
我に返った直樹が謝る。
「ああ、なるほど。すまなかった、優華も来るかい?」
「な、なぜですか!?」
顔を真っ赤にする優華。
「仲間外れが嫌だったんだろう?安心しろ、私は4人くらいは相手できる自信がある!」
「「よ、4人…。」」
嫌な汗を流しながら、直樹と優華が同時に呟く。
「フフッ…。仕事も無いし、今から行こうか?」
ペロッと唇を舐める菫。
